【名著】孤独な群衆|リースマン 人間関係、仕事、教育、メンタル。人生が劇的に楽になる「3つの性格」のお話。

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今回は社会学の古典的名著、デイヴィッド・リースマンの『孤独な群衆』について解説します。

この本は、社会の変化に伴い、人々の性格がどのように変化してきたのかを深く考察した作品です。現代社会を生きる私たちにとって、非常に重要な示唆を与えてくれます。

なぜ今『孤独な群衆』なのか?

『孤独な群衆』は、社会学の分野で非常に重要な位置を占めるだけでなく、現代社会を理解するための羅針盤とも言えるでしょう。特に、以下のような方々にとって、この本は必読です。

– 他人の視線や反応を気にしやすい方
– 子どもの教育について悩んでいる方
– 世の中の動きや政治的な話題に関心がある方
– 現代社会の生きづらさを言語化し、不安を解消したい方
– これからの働き方や生き方を真剣に見つめ直したい方

この本を読むことで、社会の変化が私たちの性格や行動にどのような影響を与えているのかを理解し、より自分らしく生きるためのヒントを得られるはずです。

『孤独な群衆』を読む前に

本書の内容を深く理解するために、以下の3つのポイントを頭に入れておきましょう。

1. 性格類型に優劣はない
本書では、伝統思考型、内部思考型、他人思考型という3つの社会的な性格類型が登場します。リースマンはこれらの性格類型に優劣をつけていません。それぞれの性格は、時代や社会の構造によって生まれたものであり、良い面もあればそうでない面も含まれていると指摘しています。

2. 性格類型は明確に区分されない
これらの性格類型は、血液型のように人を機械的に分類するものではありません。誰もがこれらの要素を異なる割合で持ち合わせています。したがって、ある社会が内部思考型だとしても、その社会に属する全ての人が内部思考型であるわけではないのです。

3. 大衆批判の書ではない
『孤独な群衆』というタイトルから、大衆を批判する内容だと思う人もいるかもしれませんが、実際は全く違います。リースマンは、社会的な性格を冷静かつ客観的に分析しており、むしろ読者に希望を与えるような内容といえます。

アメリカ社会における3つの性格類型

本書では、アメリカ社会を例に、社会の変化と人々の性格の変化が詳しく解説されています。

1. 伝統思考型

この性格類型は、昔ながらのルールや習慣を大切にする傾向があります。主な特徴は以下の通りです。

  • 厳格なルールと恥の意識:何をすべきか、何をすべきでないかという善悪の基準が明確で、ルールや規範を破ることは「恥」であると認識されます。
  • 個性よりチームワーク:個性や自分らしさよりも、共同体のルールを守り、協調性を重視します。
  • 政治的無関心:政治は自分とは関係のない、神に委ねるべきものと考える傾向があります。

2. 内部思考型

技術革新が進み、印刷物が普及したことで、人々は外の世界を知り、自分の人生を自分で切り開くという考えを持つようになりました。そんな時代の流れの中で生まれたのが内部思考型です。その特徴は以下の通りです。

  • 目標の一般化: 富や名声、権力など、人生の目標が社会全体で共有され、目標達成のために努力することが求められます。
  • 長期計画が立てやすい: 目標が明確であるため、長期的な計画を立てやすく、努力が報われる社会だと考えられています。
  • 仕事が生活の中心: レジャーや消費よりも、将来の目標に向けて働くことが重視されます。
  • 勝者と敗者が明確: 目標を達成できた者とできなかった者の差が明確になり、敗者は罪の意識に苛まれる傾向があります。
  • 道徳的価値観に基づく政治参加: 自分の信じる道徳に基づいて、積極的に政治に参加します。

3. 他人思考型

メディアの影響力が強まり、人々の交流が活発化する中で、他人思考型が現れます。これはアメリカだけでなく、現代社会の一般的特徴といえるでしょう。主な特徴は以下の通りです。

  • 正解がない世界: 人生の目標やルートは自分で決める必要があり、他人の反応や流行に敏感になります。
  • 承認と指導の追求: 自分を認めてくれる存在や、人生の指針となる指導者を求めます。
  • 孤独耐性の低下: 孤独に耐えられなくなり、常に誰かと繋がっていることを求めます。
  • 親子関係の水平化: 親の権威が弱まり、子供は友人やメディアの影響を強く受けるようになります。
  • 内情報屋の出現: 政治的なニュースやゴシップに関心を持ち、情報を共有すること自体を楽しむようになります。

他人思考型社会に希望はあるのか

リースマンは、他人思考型社会を悲観的に捉えるのではなく、むしろ希望を見出すべきだと述べています。その理由は以下の通りです。

  • 高い感受性::他人思考型社会の人々は、他人の気持ちや考えに敏感であり、多様な価値観を受け入れる土壌がある。したがって少数派でも孤立しにくい。
  • 自立性の獲得:他人の意見に流されやすい傾向がある一方で、自分の感情や考えを深く理解し、社会のルールに従うかどうかを自分で選択できる「自律型」になることも可能。
  • 他者との繋がりを力に: 困難に直面した際には、他者との繋がりを活かして助けを求めやすい。

おわりに

『孤独な群衆』は、社会の変化が人々の性格に大きな影響を与えることを示しています。そして、現代社会は他人思考型へと移行しており、私たちは常に他人の目を気にしながら生きていると言えるでしょう。

しかし、リースマンは、他人思考型社会に生きる私たちにも、自立して生きる道があると教えてくれます。そのためには、まず自分自身を深く理解することが重要です。自分の感情、欲求、能力、限界を把握し、「自分とは何か」という問いに真摯に向き合う必要があります。

自分自身を深く知ることで、私たちは社会のルールに盲目的に従うのではなく、自らの意思で行動を選択し、より自分らしい生き方を見つけることができるはずです。詳しい内容は以下の動画からチェックしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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